飽和脂肪酸を無理なく控えるには?今日からできるちょっとした食事の工夫を栄養士が解説!
ダイジェスト
-
飽和脂肪酸は摂りすぎになりやすい栄養素
-
肉の脂身や皮を控え、魚料理を増やす
-
牛乳は低脂肪にし、パンはシンプルなものを選ぶ
健康診断などでコレステロールなどの数値を指摘され、「日々の食事を少し見直してみようかな」と考え始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お肉や乳製品などに含まれる「飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)」は意識しないと摂りすぎてしまいがちな成分の一つですが、お肉の部位の選び方や、いつも使っている調味料・食材を少し工夫するだけで、おいしく無理なく控えることができます。
この記事でわかること
- 飽和脂肪酸とはどんな成分か、なぜ気をつけるとよいのか
- 日常生活で無理なく飽和脂肪酸を控える5つのヒント
- 1日の食事で工夫を取り入れた具体的なメニュー例
今回は、ちょっとした工夫で飽和脂肪酸を控え目にするポイントをあすけん栄養士がわかりやすくご紹介します。

飽和脂肪酸とは
飽和脂肪酸とは、脂質を構成する成分の一部です。人間の体内でも作り出すことができるため、食事から必ずしも多く摂取しなければならない栄養素ではないと考えられています。
一方で、お肉の脂身や鶏肉の皮、バターや牛乳など、私たちの身近でおいしい食品に多く含まれています。そのため、和食よりも洋食や脂っこい食事が好きな方や、お菓子やパンをよく食べる方は、知らないうちに過剰摂取になりがちな成分の一つです。
飽和脂肪酸を過剰に摂り続けると、LDL(悪玉)コレステロール値を上昇させる要因の一つとなり、動脈硬化性疾患のリスクを高める可能性があるとされています(※1)。健康診断で数値が気になった方は、まずは普段の食事にどれくらい飽和脂肪酸が含まれているかを知ることから始めてみましょう。
飽和脂肪酸の目標量
飽和脂肪酸の目標量は、1日のエネルギー合計に対して「7.0%未満」と設定されています(18歳以上の男女の場合※2)。
例えば、20代女性で1日の目標摂取エネルギーが1540kcalの場合、飽和脂肪酸の目標量は「11.98g未満」となります。数字だけを見るとイメージしづらいかもしれませんが、これは市販のチョコデニッシュ1個(飽和脂肪酸量:約16g)を食べると、それだけで簡単に超えてしまう量です。
「そんなにすぐ超えてしまうなら難しい」と感じるかもしれませんが、裏を返せば、選び方を少し変えるだけで大きく減らすことができるということでもあります。
飽和脂肪酸は過剰摂取によるリスクが指摘されていますが、目標量の上限値を算出するために十分なエビデンスが得られていないため、日本人の食事摂取基準では実際の日本人の摂取量の中央値をもとに目標量が設定されています(※2)
飽和脂肪酸を控え目にするポイント
毎日の食事で、飽和脂肪酸を無理なく控えるためのポイントを5つご紹介します。ご自身の生活に取り入れやすそうなものを探してみてくださいね。
お肉は脂身・皮を控える
お肉が好きな方は、食べるお肉の種類や部位を変えるだけでも効果的です。
豚肉や牛肉なら「バラ>ロース>もも>ヒレ肉」の順に、鶏肉なら「もも>胸肉」の順に、飽和脂肪酸の含有量が少なくなる傾向があります。また、鶏肉の皮の部分にも多く含まれるので、気になる方は調理前や食べる前に取り除くようにするとよいでしょう。
牛乳やヨーグルトは低・無脂肪、豆乳にする
毎日の習慣で牛乳やヨーグルトを摂っている方は、思い切って「低脂肪」や「無脂肪」の製品を選んでみましょう。これだけでも無理なく飽和脂肪酸を控えることができます。
さらに、豆乳などの大豆製品は乳製品よりも飽和脂肪酸をカットしやすい食品です。風味の変化に抵抗がない方は、カフェラテのミルクを豆乳に変更するなど、少しずつ取り入れてみるのもおすすめです。
バターの代わりにオリーブ油にする
パンに塗るものや調理に使う油を見直すのも一つの手です。オリーブ油は、バターと比べて飽和脂肪酸が控えめです(※3)。
炒め物などの調理時に使うのはもちろんのこと、オリーブ油はパンとの相性もよいため、食パンなどにバターをたっぷり塗る代わりに、オリーブ油を少しつけて風味を楽しむのもおすすめの食べ方です。
パンはシンプルなものを選ぶ
菓子パンや惣菜パンは手軽ですが、バターやマーガリンがたっぷり使われていることが多くなります。
パンを選ぶ際は、デニッシュ系のパンやお菓子パンよりも、シンプルなベーグルやフランスパン、食パンなどを選ぶと飽和脂肪酸を抑えやすくなります。例えば、チョコデニッシュよりチョココロネ、クロワッサンよりバターロールの方が飽和脂肪酸が少ない傾向にあります。
お肉料理の次はお魚料理をメインにする
お肉ばかりの食事になりがちな方は、お魚を食べる回数を増やしてみましょう。お魚はお肉に比べて飽和脂肪酸が少なく、良質な油(不飽和脂肪酸)の割合が多い食品です。
「魚の調理は大変」と感じる場合は、無理に手作りしなくても大丈夫です。スーパーで売られているお刺身の盛り合わせや、お惣菜の焼き魚、サバの缶詰などを上手に活用するとよいですよ。
飽和脂肪酸を控え目にした食事例
先程のポイントを踏まえて、飽和脂肪酸を控え目にした1日の食事例をみてみましょう。
この例では、気になる食品を少し置き換えることで、全体の飽和脂肪酸量を約60%(27.8gから11.4g)もカットすることができました。1日の目標量(11.98g未満)にもしっかり収まっています。
【朝食の工夫】

バターをオリーブ油に、普通の牛乳を低脂肪牛乳に変更しました。

【昼食の工夫】

お弁当や定食で定番のから揚げを、もも肉から胸肉に変えることで脂質を抑えています。

【夕食の工夫】

メインのおかずをお肉(豚バラ肉など)からお魚(ブリ)に変更しました。

【1日の飽和脂肪酸合計の変化】

※1日の食事例は「あすけん」の設定(20代女性、目標摂取エネルギー1540kcal、飽和脂肪酸の目標量11.98g未満)で行い、算出した目安です。
健康診断などで数値を指摘された方へ
コレステロール値や中性脂肪などの数値が高く、すでに医療機関を受診するよう指示が出ている方や、現在治療中の方は、まずはご自身の判断だけで食事を大きく変えず、かかりつけの医師に必ずご相談ください。
まとめ
飽和脂肪酸を控え目にして目標量におさめるのは、最初は大変そうに感じるかもしれません。しかし、今回ご紹介したように「いつもの食材を少し置き換える」だけで、無理なく減らすことができます。
- 飽和脂肪酸は、お肉の脂身や乳製品、洋菓子などに多く含まれており、摂りすぎに気をつけたい成分です
- パンやお肉の選び方を少し工夫するだけで、摂取量は大きく減らすことができます
- お肉だけでなく、お魚や大豆製品をメニューに組み合わせるのがおすすめです
まずは「明日の朝、パンに塗るバターをお休みしてみる」「飲み物を低脂肪乳に変えてみる」など、どれか1つだけ、できそうなことから試してみてはいかがでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Q. お肉は一切食べないほうがいいのでしょうか?
A. お肉にはカラダづくりに欠かせない良質なたんぱく質や鉄分なども含まれているため、極端に避ける必要はありません。食べる時は脂身の少ない赤身肉や鶏胸肉を選ぶ、調理前に脂を切り落とすなど、少しの工夫でおいしく楽しむことができます。
Q. 飽和脂肪酸を控えると、食事が物足りなくなりそうで心配です。
A. 脂質には料理にコクを出す役割もあるため、急にすべてを減らすと物足りなさを感じるかもしれません。そんな時は、きのこや海藻など噛みごたえのある食材で満足感を補ったり、お魚の脂(不飽和脂肪酸)をメインのおかずにするなどして、無理のないペースで慣れていくのがおすすめです。
Q. 洋菓子が好きですが、完全にやめないといけませんか?
A. 完全にゼロにする必要はありません。まずは「毎日食べていたものを週に3回にする」「洋菓子の代わりに、脂質の少ない和菓子(お団子やまんじゅうなど)を少し楽しむ」といったように、頻度や種類を見直すことから始めてみましょう。
仕事に没頭しすぎたことで体調を崩したことをきっかけに、健康的なカラダが仕事の質を良くするという思いを胸に約6年勤めた会社を退社し、栄養士の資格を取得。その後、JICA青年海外協力隊として2年間、中米グアテマラで現地の栄養教育を経験。現在は、病院で食事・栄養管理に関わる仕事と子育てをしながら、あすけん栄養士としてコラムの執筆やオンライン栄養カウンセリングを担当。