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非常食を「栄養」から見直そう!家庭の備蓄“5つのチェックリスト”【栄養士監修】

ダイジェスト

  • 過去の災害では主食が偏りおかずが不足しがちである
  • 栄養視点で主菜や副菜も備える5つのチェックポイントを紹介
  • ローリングストックで家庭の備蓄を無理なく整える

もしものときの非常食、「何日分あるか」だけで安心していませんか?実は過去の災害では、食事の内容が偏りやすかったことが報告されており、健康や体力維持への影響が心配されます。この記事では、家庭の備蓄を「栄養」の視点で見直すためのチェックリストをご紹介します。

非常食は「量」だけでなく「栄養バランス」もチェック

非常食の備えというと、量や賞味期限の確認に意識が向きがちです。しかし過去の災害では、避難生活の食事がご飯やパン、インスタント麺などの主食中心に偏り、おかずにあたる主菜や副菜が不足しやすかったことが報告されています(※2)。避難生活が長期化すると、栄養バランスが崩れ、健康や体力維持に影響が出たりすることも考えられます。

そこで大切になるのが、備蓄を「主食・主菜・副菜」という普段の食事と同じ視点で見直すことです。この記事では、その具体的な方法として5つのチェックリストをご紹介します。特別な準備ではなく、いつもの食卓の延長で考えることが、無理なく続けるポイントです。

知っておきたい!非常食とローリングストックの基本

非常食とは、災害などで通常の食事がとれなくなったときのために備えておく食品のことです。長期保存用の専用品に限らず、缶詰やレトルト食品、乾物など、日常づかいできる保存性の高い食品も含めて考えると選択肢が広がります。

備える量の目安として、農林水産省のガイドでは「最低3日分〜1週間分×人数分」の食品の家庭備蓄が望ましいとされています。あわせて、水は飲料水と調理用水を合わせて1人1日およそ3Lが目安とされています(※3)。まずはこの量を参考に、ご家庭の状況に合わせて調整しましょう。 

ローリングストックとは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限の古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭に備蓄されている状態を保つ方法のことです(※3)。

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」では、備蓄に適した食品の選び方とあわせて、このローリングストックの実践方法が紹介されているのでぜひチェックしてみてください(※3)。

災害時の食事はどう偏る?避難所から見えたこと

過去の災害で見えてきたのは、「主食はあるのに、おかずが足りない」という食事の偏りです。

東日本大震災の約1カ月後に宮城県内のある市の全避難所を調べた調査では、約8割の施設で何らかの食品が不足していたと報告されています。特に足りなかったのは「牛乳・乳製品」「肉」「野菜」。一方で、何らかの食品が過剰であった避難所は約4割で、具体的には「おにぎり・菓子パン・インスタント麺といった穀類」との回答が多かったそうです(※2)。

また、避難所の食事の栄養バランスを国の目安と比べた研究では、目安をすべて満たした避難所はなく、1つも満たしていない避難所が約半数だったと報告されています。注目したいのは、主菜や副菜といった「おかず」を出す回数が多い避難所では、栄養バランスの評価が高かったこと。おかずの備えが、食事の偏りをやわらげるカギになる可能性が示唆されています(※1)。

こうした偏りは、東日本大震災に限りません。「災害時の栄養情報ツール」でも、過去の災害が起きた直後は、支援物資の到着状況により、おにぎり、パン、カップ麺などの炭水化物が主となり、 野菜・果物、牛乳・乳製品、魚などの生鮮食品が届かないため、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維の不足が目立っていたとの報告もあります(※5)。

つまり「主食は確保しやすいが、おかずが不足しやすい」というのが過去の災害から見えてきた傾向です。だからこそ、家庭の備蓄も「おかず」の視点で見直すことに意味があります。

備蓄を「栄養」で見直す5つのチェックリスト

ご家庭の備蓄を思い浮かべながら、次の5つを確認してみましょう。

①主菜になるたんぱく質源はあるか

災害時に不足した食品として「肉」「魚介類」「豆類」「卵」が報告されています(※2)。“おかずの提供”が避難生活での栄養バランスの改善要因になり得るという報告を踏まえると(※1)、魚や肉の缶詰、レトルトのおかず、豆の水煮、魚肉ソーセージなど、たんぱく質源となる食品を確認しましょう。開けてすぐ食べられるおかずや、簡単な調理で食べられるものを用意しておくことがポイントになります。

カセットコンロなど加熱手段の備えもあわせて確認しておくと、食事の選択肢が広がります。 

② 副菜・乳製品があるか

野菜の缶詰やジュース、海苔・梅干し、切り干し大根や乾燥わかめなどの乾物、フリーズドライのスープ、果物の缶詰やドライフルーツなどが副菜の候補です。じゃがいも・玉ねぎ・にんじんなど日持ちする根菜も、常備してあると安心ですね。

不足した食品の筆頭には「牛乳・乳製品」も挙げられており、常温保存できるタイプの牛乳などが選択肢になります(※2)。

③ 主食は十分にあるか

主食は大切なエネルギー源です。アルファ化米、パンの缶詰など防災用のもの以外でも、日々の食生活にとり入れられる主食が十分あるかどうかを確認しましょう。たとえば、お米、インスタントラーメンやカップ麺、そうめん・パスタ・うどん・そばなどの乾麺も保存がきく主食です。

④調味料・菓子類はあるか

ケチャップ・マヨネーズ・コンソメ・ソース・こしょうなど、味に変化をつけられる調味料・香辛料の不足も報告されています(※2)。備えるなら、常温保存できるこしょうなどのスパイスや、使い切りタイプのケチャップ・小袋の調味料などを選んでおくと、災害時にも使いやすいでしょう。

チョコレートやビスケット、ようかんなどの菓子類もあると、食欲がない時などに口にしやすく、避難生活でほっとする一助にもなり得ます。不足しやすいビタミンやミネラルなどの栄養が添加されているゼリーや菓子類なども食事の役に立つでしょう(※5)。

⑤家族それぞれに合った食べものがあるか

乳幼児、高齢の方、食物アレルギーのある方など、配慮が必要な家族がいる場合は「その人が実際に食べられる備え」が欠かせません。備蓄を見直すときは、家族一人ひとりを思い浮かべて「この中に、この人がそのまま食べられるものはあるか」を確かめてみましょう。 

乳幼児がいる場合

育児用調製粉乳や乳児用液体ミルク、月齢に合った離乳食が家庭の備えの候補です。公的機関のサイトなどで、乳幼児用品の備蓄チェックシートなどが掲載されているので参考にしてみてください(※4)。

高齢の方・噛むこと、飲み込むことが難しい方がいる場合

普段から食べなれている食品を備蓄しておくことを中心に、やわらかく調理されたレトルトのおかずなど、無理なく食べられるものを確認しましょう。

噛むこと・飲み込むことが難しい方の場合は、介護食品の活用も一つの方法です。農林水産省の「スマイルケア食」のマーク(※7)や、日本介護食品協議会の「ユニバーサルデザインフード(UDF)」のマーク(※8)などがついた商品は、介護食の利用者やご家族も選びやすいよう表示に配慮がされています。どのような商品があるのかもぜひチェックしてみてください。

食物アレルギーのある方がいる場合

本人が食べられる主食とおかずを、本人の分として確保することが基本です。容器包装された加工食品には特定原材料のアレルギー表示が義務付けられているため、備蓄品も表示を確認して選びましょう。

こうした方々の家庭備蓄については、農林水産省の「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」にも詳しくまとめられています(※3)。

ローリングストックで無理なく備蓄を整えるコツ

チェックで足りないものが見つかったら、ローリングストックで少しずつ整えていくのがおすすめです。

いつもの買い物で「1つ多め」に買う

普段も使える缶詰やレトルトのおかず・食材を購入し、食べたら買い足すサイクルをつくる。

「食べ慣れた味」を備える

非常時でも普段に近い食事がとりやすくなります。

点検日を決める

防災の日(9月1日)や衣替えの時期など、年に数回の見直しタイミングを決めておくと、賞味期限切れを防ぎやすくなります。

備えるときに気をつけたいこと

慢性疾患などで食事管理が必要な方や食物アレルギーのある方は、備蓄の内容について主治医や管理栄養士などに相談しておくと安心です。また、備えは一度に完璧を目指すのではなく、日常の延長で少しずつ整えていくようにしましょう。

「もしも」の際の食卓を支える備え方

  • 災害時の食事は主食に偏り、おかず(主菜・副菜)が不足しやすいと報告されている。
  • 食料の備蓄は「主食/たんぱく質源/副菜・乳製品/調味料・菓子類/家族への配慮」の5つでチェックする。
  • 水は必需品。カセットコンロなども備えてあると安心。
  • ローリングストックなら普段の買い物の延長で無理なく続けやすい。
  • まずは家の備蓄を一度全部並べて「主食」「主菜」「副菜」に分けてみると、偏りが一目でわかり、次に買い足すものが見えてくる

9月1日の防災の日は、備えを見直すよい機会です。まずは、いつもの買い物かごに「おかずになる一品」を足すことから始めてみませんか。 

FAQ

Q1. 非常食はどんなものから揃えればいいですか?

A. 主食に加えて、魚や肉の缶詰・レトルトのおかず・野菜や果物系の食品など「おかずになるもの」を意識して揃えるのがおすすめです。過去の災害では主食が過剰になる一方、おかず類の不足が報告されています(※2)。

Q2. 賞味期限の管理が苦手です。よい方法はありますか?

A. 日頃から食べているものを少し多めに購入し、食べた分を補充する「ローリングストック」が続けやすい方法の1つです(※3)。年に数回の点検日を決めておくのも役立ちます。

Q3. 家族にアレルギーがある場合、どう備えればいいですか?

A. 本人が確実に食べられる食品を備えることが基本です。加工食品にはアレルギー表示の制度があるため、備蓄品も表示を確認して選びましょう(※6)。農林水産省の「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」も参考になります(※3)。

Q4. 高齢の家族がいます。備蓄で気をつけることはありますか?

A.  普段食べなれた食品を中心に備蓄しておきましょう。噛むこと・飲み込むことが難しい方には、介護食品を活用する方法もあります。「スマイルケア食」のマーク(※7)や「ユニバーサルデザインフード」のマーク(※8)が食品選びの目安になります。気になることがあれば、医師や管理栄養士など専門職への相談もあわせて検討しましょう。

参考・参照
※1国立健康・栄養研究所 災害栄養情報研究室「東日本大震災の避難所における栄養バランスの評価と、おかず提供の有用性について」(原田ら 2017)〈https://www.nibn.go.jp/eiken/disasternutrition/paper/201704.html〉(最終閲覧日:2026/8/25)
※2国立健康・栄養研究所 災害栄養情報研究室「避難所では、どのような食品が不足し、どのような食品が過剰になるのか?」(Tsuboyama-Kasaoka ら 2014)〈https://www.nibn.go.jp/eiken/disasternutrition/paper/201403.html〉(最終閲覧日:2026/8/25)
※3農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」/「簡単!「ローリングストック」/「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」〈https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html〉(最終閲覧日:2026/8/25)
※4 内閣府男女共同参画局「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」(令和2年5月)/ 「備蓄チェックシート」〈https://www.gender.go.jp/policy/saigai/fukkou/guideline.html〉(最終閲覧日:2026/8/25)
※5国立健康・栄養研究所 災害栄養情報研究室「災害時の栄養情報ツール」(乳幼児・アレルギー・糖尿病等の専門団体資料のポータル)〈https://www.nibn.go.jp/eiken/disasternutrition/info_saigai.html〉(最終閲覧日:2026/8/25)
※6消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」〈https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/〉(最終閲覧日:2026/8/25)
※7農林水産省「スマイルケア食」〈https://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo.html〉(最終閲覧日:2026/8/25)
※8日本介護食品協議会(UDF:ユニバーサルデザインフード)〈https://www.udf.jp/〉(最終閲覧日:2026/8/25)
執筆 あすけんmore編集部
多田 綾子
監修 多田 綾子(栄養士)

化粧品ブランドに14年間勤務後、からだの内側からも美容や健康をサポートしたいという思いから栄養士の資格を取得。現在はあすけん栄養士としてコラム執筆やオンライン栄養カウンセリングを担当。

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