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のどの痛みにはちみつは効果がある?咳の研究と取り入れ方・注意点を解説
のどが痛いとき「はちみつをなめるとよい」と聞いたことはありませんか?
はちみつは昔から、のどの不調や咳が気になるときに親しまれてきた食品です。実際にさまざまな研究が行われていますが、はちみつがのどの痛みを改善する効果は、十分に確認されていません。一方、子どもの咳については、症状を軽減する可能性を示した研究があります。
今回は、はちみつがのどによいといわれる理由や研究結果、上手な取り入れ方、注意点について、あすけん栄養士が解説します。
はちみつがのどによいといわれる理由
はちみつがのどによいといわれる背景には、抗菌作用や抗炎症作用に関する研究や、とろりとした粘りへの着目があります。
- 抗菌作用:試験管内などの研究では、 はちみつに糖分が多く水分が少ないことや、酸性であること、過酸化水素が作られることなどが、細菌の増殖を抑える抗菌作用に関係していると考えられている(※1)
- 抗炎症作用:動物実験や細胞を用いた研究などでは、はちみつに含まれるポリフェノールなどの成分に、炎症を抑える可能性が報告されている(※2)
- 粘りによる働き:咳に関する研究をまとめた論文では、とろりとした粘りがのどの粘膜を一時的に覆い、刺激をやわらげる可能性が考えられている(※3)
このように、さまざまな作用が研究で報告されていますが、研究されている作用と、実際に食べたときの症状への効果は分けて考える必要があります。実際にはちみつを食べることで、のどの炎症や痛みが改善するかどうかは、十分にわかっていません。
次に、子どもの咳を対象とした研究でわかっていることを紹介します。
はちみつと咳の関係は?研究でわかっていること
はちみつについては、のどの痛みそのものよりも、風邪などに伴う「咳」を対象とした研究が行われています。
2018年に公表された、1〜18歳の子ども899人を対象とする6件の研究をまとめた分析では、はちみつを摂った場合、何も摂らなかった場合やプラセボ(偽薬)を摂った場合と比べて、咳の頻度が減る可能性が示されました(※4)。
研究によってはちみつの種類や摂取量は異なり、多くは1晩の使用による変化を調べています。子どもの咳に対する短期的な効果を知るうえで、参考になる研究結果です(※4)。
はちみつと砂糖は何が違う?砂糖でものどによいの?
はちみつと砂糖は、どちらも甘味のある食品ですが、含まれる糖の種類や成分が異なります。
それぞれの特徴は、次のとおりです。
- はちみつ:主成分はブドウ糖や果糖。ほかにも水分や有機酸などが含まれ、独特の風味やとろりとした粘りがある
- 砂糖:主成分はショ糖で、ブドウ糖と果糖が結びついた糖の一種
このように、はちみつと砂糖は成分や性質が異なります。ただし、砂糖に同じ働きがあるかどうかや、はちみつのほうがのどの痛みによいかどうかは、十分な根拠がありません。
どちらも糖分を多く含むため、「のどのために」とたくさん摂る必要はないでしょう。
のどが気になるときのはちみつの取り入れ方
はちみつを取り入れるなら、普段の飲み物や料理の甘味付けに少量使う方法があります。のどが気になるときは、はちみつの有無にかかわらず、水分をこまめにとりましょう。
ここでは、具体的な取り入れ方や摂取量の考え方を紹介します。
はちみつはそのままなめるの?
はちみつはそのまま少量なめるほか、普段の食事や飲み物にも取り入れられます。
先ほどの子どもの咳を対象とした研究では、はちみつをそのままなめる方法が使われています(※4)。ただし、この方法がのどの痛みにもよいかどうかは、十分にわかっていません。
普段の食生活に取り入れるなら、次のような方法があります。
- <取り入れ方の例>
- 白湯や温かい飲み物にはちみつを加える
- ヨーグルトにはちみつをかける
- 料理の甘味付けに使う
はちみつ入りの飲み物を楽しむ場合、熱すぎない温度にすると飲みやすいでしょう。
1日どのくらいとればよいの?
はちみつは少量を取り入れる程度にし、摂りすぎに注意しましょう。
はちみつには、のどの痛みを和らげるための明確な摂取目安量はありません。子どもの咳を対象とした研究では、1回2.5〜10mLなどの量が使われていますが、のどの痛みに適した量を示すものではありません(※4)。
WHO(世界保健機関)は、はちみつや砂糖、シロップなどに含まれる「遊離糖類」の摂取量を、1日の総エネルギー摂取量の10%未満、できれば5%未満に抑えることを推奨しています(※5)。
例えば、1日2,000kcalを摂取する成人の場合、5%は糖類約25gに相当します。食品成分表の糖類含有量をもとに計算すると、はちみつ約33g(大さじ約1.6杯)の量です(※6)。
ただし、これははちみつだけの目安量ではなく、お菓子や甘い飲み物などに含まれる遊離糖類も合わせた量です。はちみつを取り入れる際は、ほかの食品から摂る糖分も考慮しましょう。
はちみつを摂るときに知っておきたい注意点
はちみつを取り入れる際は、下記の注意点を知っておきましょう。
1歳未満の赤ちゃんには絶対に与えない
1歳未満の赤ちゃんには、はちみつを絶対に与えないでください。
はちみつには、乳児ボツリヌス症の原因となるボツリヌス菌の芽胞が含まれている場合があります。
1歳未満の赤ちゃんは腸内環境が十分に整っていないため、腸内で菌が増殖し、毒素を作ることで発症する可能性があります。
ボツリヌス菌の芽胞は熱に強く、通常の加熱調理では死滅しません。はちみつ入りの飲み物やお菓子も避けましょう。
一方、1歳以上では腸内環境が発達するため、はちみつによる乳児ボツリヌス症のリスクは低いとされており、1歳を過ぎればはちみつを食べられます。
摂りすぎや虫歯にも注意する
はちみつは糖分を多く含み、虫歯のリスクにも関わります。
のどが気になるからと、何度もはちみつをなめ続けたり、大量に摂ったりするのは控えましょう。
特に就寝前に摂る場合は、歯磨きなどの口腔ケアも大切です。
糖尿病などで食事管理中の方は自己判断で増やさない
はちみつは健康的なイメージがあるかもしれませんが、糖質を多く含む食品です。
糖尿病などで食事管理をしている方は、のどが気になるからと自己判断で摂取量を増やさず、医師や管理栄養士の指示を優先してください。
のどの痛みが続くときは医療機関へ
のどの痛みが強い場合や高熱がある場合、症状が長引いたり悪化したりするときは、医療機関に相談しましょう。
はちみつはのどが気になるときの食品の選択肢のひとつ
はちみつは、昔からのどの不調が気になるときに利用されてきた食品です。
のどのケアには、こまめな水分補給や部屋の加湿、十分な休養も大切です。こうした基本的なケアを心掛けながら、はちみつも選択肢のひとつとして、注意点を押さえて少量取り入れるのもよいでしょう。
管理栄養士。病院、保健センター、保育園で幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在はフリーランス管理栄養士として、ライターやレシピ制作を中心に活動中。あすけんではコラム執筆などを担当している。