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マンジャロで話題のGLP-1。実は「食物繊維」で自然に分泌を促せる?あすけん管理栄養士が解説

ダイジェスト

  • GLP-1は食後に小腸から出る「痩せホルモン」
  • GLP-1の分泌を促す注目の栄養素は食物繊維とレジスタントスターチ
  • 日本人は1日あたり食物繊維が約5g不足。あすけんユーザーも約65%が不足している

最近、SNSやニュースで「マンジャロ」などの新しい薬が話題になり、「GLP-1」という言葉を見聞きする機会が増えました。「痩せホルモン」として注目を集めていますが、GLP-1自体はもともと、食事の刺激によって私たちの腸から自然に分泌されるホルモンの一つです。

あすけん管理栄養士の道江美貴子が、食物繊維を効率よく摂るための食材選びや日々の食事に無理なく取り入れるコツを交えながら、GLP-1の分泌を自然に促す方法をわかりやすく解説します。

※本記事は、2026年5月16日に開催された「あすけん式 おとなの食育展2026」での講演内容をもとに構成しています

GLP-1ってどんなホルモン?

GLP-1は、食事をとったあとに腸から分泌が高まるホルモンの一つです。普段から、私たちの腸内でGLP-1が作られており、分泌されたGLP-1は血流にのってカラダのさまざまな場所に働きかけることが知られています。

例えば、脳に働きかけて食欲を抑える方向に働くほか、胃の内容物が腸へ移動するスピードをゆるやかにして、満腹感が続きやすくします。さらに、血糖値が上がったタイミングで、すい臓にインスリン分泌を促すシグナルを送り、食後の血糖調節を助ける働きがあります。

GLP-1を生み出す「食物繊維」×「短鎖脂肪酸」

では、こうしたGLP-1の分泌が、食物繊維とどのように関わるのでしょうか。

GLP-1のはたらきに関係すると考えられているのが、腸内細菌と食物繊維の関係です。食物繊維の中には、胃や小腸で消化されにくく、そのまま大腸まで届くものがあります。これが腸内細菌のエサになると、発酵が進み、「短鎖脂肪酸」(腸内で作られる成分)が作られます。この短鎖脂肪酸が腸に働きかけることで、GLP-1を含む「食後に出るホルモン」の分泌に影響することが、細胞や動物の実験に加え、ヒトを対象とした研究でも示されています(※1)。

食物繊維を意識した食事を続けることは、腸内環境を介してGLP-1が働きやすい状態づくりにつながると考えられます。

不足しがちな食物繊維、食べるべき食材は?

1日の食物繊維の目標量は、成人男性で20〜22g以上、成人女性で18g以上。(※2)ですが、実際の日本人の食物繊維の摂取量は13〜14gで、5gほど足りていません。(※2)あすけんユーザーのデータ調査では、ユーザーの約65%が食物繊維が不足している現状がありました。(※3)

食物繊維が豊富な食材は海藻、きのこ、豆、果物、穀物・芋などです。特に、野菜類(野菜・海藻・きのこ)は全年代を通じて足す必要があり、1日350g以上の摂取目標に対して不足している現状があります。(※3)

あすけんユーザーのデータ調査でダイエット成功者と失敗者の野菜摂取量を比較すると、その差は50gほど。(※4)差分50gは小鉢一品分に相当します。めかぶやオクラ、ごぼうなどは、野菜の中でも水溶性食物繊維が豊富なので、パック売りのめかぶや、冷凍オクラなどを活用して、いつもの食事に一品プラスするのがおすすめです。

その他だと、納豆、キウイ、バナナ、里芋なども水溶性食物繊維が摂れる食材。積極的に取り入れたいですね。

食物繊維をプラスしやすい!管理栄養士おすすめ「コスパ野菜」

最近は価格高騰で野菜を買いにくいという方も多いかと思います。参考までに、管理栄養士おすすめのコスパ野菜をご紹介します。

低価格で栄養豊富なのが、豆苗。ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンC、ビタミンK、葉酸、食物繊維を含んでいます。特にビタミンKは小鉢(約60g)を食べると1日の摂取基準をクリアすることができます。

今年指定野菜になったブロッコリーは、今後価格の安定が予想されるので、積極的に摂っていきたいですね。

薄い色で栄養価が低いと思われがちなのが、水菜。実は緑黄色野菜で、ビタミンAやβカロチンが豊富に含まれています。これらの野菜を活用して野菜を積極的にとる食事を目指しましょう。

抜かないで!食物繊維が意外と多い「主食の穀物」

芋類には食物繊維が多いとご存じの方は多いかと思いますが、実はご飯や穀物類にも食物繊維は豊富に含まれています。特に、雑穀や麦ご飯、全粒粉、もち麦、オートミールに多く含まれています。意外かもしれませんが、麺類で一番食物繊維が多く含まれているのが、スパゲティです。

芋類なら、ふかし芋やこんにゃくに多く含まれています。

中でも注目したいのが、大麦です。大麦には、GLP-1の分泌を促す働きがある水溶性食物繊維「β-グルカン」が多く含まれています。大麦が入っている麦ご飯やオートミールを活用するとよりプラスに働くと考えられます。(※5)

冷めたご飯や芋類に含まれる「レジスタントスターチ」も注目されています。お芋やご飯が冷めると、消化されにくい難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)へと構造が変化します。動物実験では、レジスタントスターチが大腸で発酵することで、GLP-1の分泌を高めることが報告されています(※6)。冷たくても違和感なく食べられることを思うと、昼食でおにぎりを選ぶなども一つの手ではないでしょうか。

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糖質を制限するために、ご飯の量を減らす方がいますが、主食は1日の中で食べる頻度や摂取量が多いため、主食を抜いてしまうことで食物繊維の摂取量が大きく減ってしまいます。不足している食物繊維5gを補うためには、主食を適量食べることをおすすめします。

まとめ

今回は、GLP-1の分泌を自然に促す食べ方として、食物繊維が多い食材と効果的な摂り方をご紹介しました。あらためてポイントを整理します。

  • 仕組み:食物繊維 → 腸内細菌が発酵 → 「短鎖脂肪酸」が腸に働きかけ、GLP-1の分泌をサポート
  • どれくらい:不足しがちな食物繊維を、1日あと約5g補うことを意識する
  • 何を足す:海藻・きのこ・豆・果物・野菜を小鉢一品(約50g)プラス
  • 主食の選び方:大麦・もち麦・オートミールなど「β-グルカン」を含む穀物、冷やご飯などの「レジスタントスターチ」を活用

薬のような即効性はありませんが、毎日の食事で少しずつ食物繊維を補う習慣が、GLP-1の働きやすいカラダづくりにつながります。まずは取り入れやすい食材ひとつからはじめてみてください。

FAQ

Q. 食物繊維を摂れば、GLP-1は本当に増えるの?

A. 食物繊維が腸内細菌によって発酵されると「短鎖脂肪酸」が作られ、これが腸に働きかけてGLP-1の分泌を促すと考えられています。薬のような即効性はありませんが、食物繊維を意識した食事を続けることが、GLP-1の働きやすい環境づくりにつながります。

Q. 食物繊維はどれくらい摂ればいいの?

A. 1日の目標量は、成人男性で20〜22g以上、成人女性で18g以上です。一方、現在の日本人の摂取量の中央値は13〜14gほどで、約5g足りていません。この不足分は、めかぶやオクラなど小鉢一品分(約50g)の野菜をいつもの食事に一品足すことで、無理なく補えます。

Q. 水溶性と不溶性、どちらを優先すればいい?

A. どちらか一方にこだわるより、まずは食物繊維の総量を増やすことが大切です。GLP-1の分泌では水溶性食物繊維が注目されますが、不溶性食物繊維も満腹感や便通の面で欠かせません。野菜・きのこ・海藻・豆類など、いろいろな食材から幅広く摂ることを意識してみてください。

Q. 大麦・もち麦・オートミール、どれがいい?

A. いずれもGLP-1の分泌を促す水溶性食物繊維「β-グルカン」を多く含むので、続けやすいものを選んで大丈夫です。朝は手軽なオートミール、昼や夜は大麦やもち麦入りの麦ご飯など、生活に合わせて使い分けるのもおすすめです。

Q. GLP-1注射薬とは、どう違うの?

A. GLP-1注射薬は、病気の治療を目的に、医師の診断のもとで処方される医療用医薬品です。一方、本記事で紹介したのは、食物繊維の摂取によって自然なホルモン分泌をサポートする日常の工夫であり、薬の代わりになるものではありません。持病のある方や治療中の方は、主治医にご相談ください。

参考・参照
※1Tolhurst G, Heffron H, Lam YS, Parker HE, Habib AM, Diakogiannaki E, Cameron J, Grosse J, Reimann F, Gribble FM. Short-chain fatty acids stimulate glucagon-like peptide-1 secretion via the G-protein-coupled receptor FFAR2. Diabetes. 2012 Feb;61(2):364-71.〈https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22190648/〉(最終閲覧日:2026/6/8)
Chambers ES, et al. Effects of targeted delivery of propionate to the human colon on appetite regulation, body weight maintenance and adiposity in overweight adults. Gut. 2015 Nov;64(11):1744-54.〈https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25500202/〉(最終閲覧日:2026/6/8)
※2厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書. (2024) 各論-エネルギー・栄養素,1-4.炭水化物,4.食物繊維〈https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html〉(最終閲覧日:2026/6/8)
※3あすけんユーザーの食事記録データを集計。データ期間:2024/10/01-2025/09/30 対象人数:16,506,000人 
※42023年8月〜2024年7月入会の一般継続会員6,933名のデータより、食事記録頻度と13週時点の体重減少率を基準に分類・分析(最終閲覧日:2026/6/8)
※5Miyamoto J, Watanabe K, Taira S, Kasubuchi M, Li X, Irie J, Itoh H, Kimura I. Barley β-glucan improves metabolic condition via short-chain fatty acids produced by gut microbial fermentation in high fat diet fed mice. PLoS One. 2018 Apr 26;13(4):e0196579. 〈https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7915888/〉
※6Zhou J, Martin RJ, Tulley RT, Raggio AM, McCutcheon KL, Shen L, Danna SC, Tripathy S, Hegsted M, Keenan MJ. Dietary resistant starch upregulates total GLP-1 and PYY in a sustained day-long manner through fermentation in rodents. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2008 Nov;295(5):E1160-6.〈https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18796545/〉(最終閲覧日:2026/6/8)

執筆 小菅 祥江
道江美貴子
監修 道江美貴子(管理栄養士)

女子栄養大学栄養学部卒業後、管理栄養士としてより多くの人に「健康を維持できる食事」を届けたい、そんな思いで、社員食堂運営会社大手(株)グリーンハウスに入社。100以上の社員食堂をまとめるスーパーバイザーを務めながら、健康増進メニューの作成・健康セミナー・カウンセリング等を行う。2007年、新規事業である『あすけん』の事業立ち上げに参加。現在は同サイトの事業統括責任者を務めるかたわら、テレビ出演や雑誌の栄養監修等、幅広く活躍中

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