あすけん

徹底した紫外線対策が骨の健康に影響?日焼け止めとビタミンD不足の関係とは

ダイジェスト

  • 日焼け止めなどの行き過ぎた紫外線対策は、ビタミンD不足の要因になる可能性がある
  • ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康に深く関わっている
  • 食事に魚介類やきのこ類を積極的に取り入れ、適度な日光浴を意識することが大切

美肌を守るためのスキンケアとして定番となっている紫外線対策ですが、実は女性のビタミンD不足に影響をもたらしている可能性があることをご存知でしょうか。過度に紫外線を避けたり、頻繁に日焼け止めを使用したりすることが、将来の骨の健康に関わってくるかもしれません。

今回は、日焼け止めとビタミンD不足の関係や骨への影響、上手な紫外線対策・食事のポイントを解説します。

日焼け止めによるビタミンD不足と健康への影響

ビタミンDは、食品から摂取するだけでなく、日光(紫外線)を浴びることによって皮膚でも生成される栄養素です。しかし、日焼けやシミ・しわを防ぎたいという美容目的から、紫外線からしっかりと肌を守ることを習慣にしている女性は少なくありません。

日本人の健康な成人を対象とした調査では、ビタミンD欠乏群は、ビタミンD非欠乏群と比べて外出時に日焼け止めを使用する人の割合が高く、特に手足に日焼け止めを使用する人が有意に多いことが報告されています(※1)。

つまり、日焼け止めの使用などにより紫外線を浴びる機会が減ることは、ビタミンD不足の一因となる可能性があります。

過剰に紫外線を防ぐことで、体内でビタミンDが十分に作られず、知らず知らずのうちに不足が慢性化してしまう状況が懸念されています。

ビタミンDとカルシウムの深い関係とは

ビタミンDの主な働きは、腸管でカルシウムの吸収を助けることです。血液中のカルシウム濃度を一定に保ち、丈夫な骨づくりに貢献しています。そのため、カルシウムだけでなく、カルシウムの吸収を助けるビタミンDもあわせて摂ることが大切です。

日本人の食事摂取基準によると、18歳以上のビタミンDの1日の目安量は男女ともに9.0μgとされています(※2)。しかし、令和6年の国民健康・栄養調査の結果を見ると、20歳以上の男女の平均的な摂取量は6.9μgとなっており、目安量に届いていない傾向が見られます(※3)。

女性と子どもの健康を守るビタミンDの役割

ビタミンDは、40〜60代の女性が特に意識したい骨の健康はもちろん、さまざまなライフステージにおいて重要な役割を担っています。

骨の健康維持

カルシウムの吸収を助けるビタミンDが不足すると、骨量が減少しやすくなり、将来的に骨粗鬆症のリスクを高める要因のひとつになると考えられています。

特に女性は、年齢とともに骨密度が低下しやすい傾向があるため、早めの備えが大切です。

カラダの正常な働きを守る

ビタミンDは体内でさまざまな役割を担っています。

例えば、糖代謝に関わるインスリンというホルモンの働きへの関連や、炎症を抑える働き、血圧の調整、さらには脳の働きや免疫機能などへの関わりもあるのではないかと考えられています(※4)

子どもの骨の健康づくり

妊娠中や母乳育児の場合において、母体がビタミンD不足の状態になると、赤ちゃんの骨の健康づくりに関わることが知られています。

特に日照を受ける機会が少ない場合や、完全母乳育児の場合に「くる病」のリスクに関わることが知られており、適切なビタミンD補給が大切だと考えられています(※2)。

ビタミンDを効率よく補給できる食べ物・食事のコツ

紫外線対策は肌を守るために大切な習慣ですが、日光を浴びる機会が少ない生活では、体内で作られるビタミンDが不足しやすくなります。

次に紹介する食べ物・食事のコツを意識して取り入れ、ビタミンD不足を防ぎましょう。

魚介類を積極的に食べる

ビタミンDは、野菜や穀類にはほとんど含まれず、主に魚介類に豊富に含まれています。以下のような食材を献立に取り入れてみましょう。

  • :1切れ(80g)あたり25.6μg
  • さんま:1尾(正味約100g)あたり16.0μg
  • うなぎ:2切れ(80g)あたり14.4μg
  • いわし:中1尾(40g)あたり12.8μg
  • さば缶(水煮):1/2缶(70g)あたり7.7μg
  • ちりめんじゃこ:大さじ2(10g)あたり6.1μg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

普段から魚をあまり食べないという方は手軽なさば缶を取り入れたりちりめんじゃこなどをサラダや和え物にトッピングしたりするのがおすすめです。

きのこ類を取り入れる

きのこ類もビタミンDを含む代表的な食べ物です。きくらげや干ししいたけ、まいたけなどに含まれています。

きのこ類に含まれるエルゴステロールという成分は、紫外線に当たることでビタミンDに変化する性質があるため、調理前に少しの間天日干しにするなどの工夫をするのもよいとされています。

適度な日光浴とサプリメント利用時の注意点

食事からの摂取に加えて、適度に紫外線を浴びて体内でビタミンDを生成することも予防につながります。
どのくらい日光を浴びるとよいのかどうかは、季節や地域、時間帯によって異なります。5.5 μgのビタミンDを生成するのに必要な、季節、時間、地域ごとの日光照射時間を見てみましょう。

【5.5 μgのビタミンDを生成するのに必要な、各地・各時刻での日光照射時間】

7月
9時

12時

15時
12月
9時

12時
札幌7.4分4.6分13.3分497.4分76.4分2741.7分
つくば5.9分3.5分10.1分106.0分22.4分271.3分
那覇8.8分2.9分5.3分78.0分7.5分17.0分

出典:独立行政法人国立環境研究所 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-(※5)

夏場は数分程度で十分な場合もありますが、冬場の日差しが弱い地域では少し長めに日光を浴びるといった調整が必要ということがわかります。

また、ガラス越しではビタミンDを生成するための紫外線(UV-B)が遮られてしまうため、屋外の空気に触れることがポイントです。

もし、不足が気になってビタミンDのサプリメントを利用する場合は、過剰摂取に注意が必要です。ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、摂りすぎると体内に蓄積されやすく、高カルシウム血症などの健康に影響を与える恐れがあります。

食事を基本とし、サプリメントを利用する場合は製品の摂取目安量を守りましょう。

なお、持病のある方や薬を服用している方、妊娠中・授乳中の方は、サプリメントを利用する前に医師や薬剤師へ相談しましょう。

食事と適度な日光浴で骨の健康をサポート

日焼け止めを使用した紫外線対策は大切ですが、過度に紫外線を避けることでビタミンD不足につながる可能性があります。骨の健康を守るためにも、ビタミンDを多く含む食品を取り入れながら、適度に日光を浴びる習慣を心掛けましょう。

FAQ

Q. 日焼け止めを塗っていてもビタミンDは作られますか?

A. 日焼け止めは紫外線を遮断する働きがあるため、しっかり塗っている部分はビタミンDが生成されにくくなると考えられています。不足が気になる場合は、顔など日焼けを防ぎたい部分には日焼け止めを使いつつ、手のひらや腕の一部だけ短時間日光に当てるなどの工夫をするのも一つの方法です。

Q. 食事からビタミンDを摂りすぎる心配はありますか?

A. 一般的な食事で魚介類やきのこ類を食べる範囲であれば、過剰摂取になる心配はほとんどないと言われています。ただし、サプリメントを規定量を超えて長期間飲み続けると過剰症のリスクがあるため、利用する際はパッケージの目安量を守ることが大切です。

Q. ビタミンDとカルシウムは一緒に食べたほうがいいですか?

A. はい、一緒に摂ることをおすすめします。ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進する働きがあるため、カルシウムが豊富な乳製品や大豆製品と、ビタミンDが豊富な鮭やきのこ類を組み合わせたメニュー(例:鮭とキノコのシチューなど)にすると、効率よく骨の健康をサポートできます。

参考・参照
※1Akiko Kuwabara, Naoko Tsugawa, Shinpei Okada, Miho Kogirima,Saeko Tada-Oikawa, Tetsuo Nakano, Hiroyasu Okuizumi, Kiyoshi Tanaka,”Development of a simple questionnaire to assess vitamin D deficiency in Japanese subjects-pilot study-,Vitamins (Japan), 92 (7), 303-312 (2018)
※2厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)〈https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html〉(最終閲覧日:2026/07/21)
※3厚生労働省 令和6年 国民健康・栄養調査 〈https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66279.html〉(最終閲覧日:2026/07/21)
※4厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIM ビタミンD〈https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/17.html〉(最終閲覧日:2026/07/21)
※5独立行政法人国立環境研究所 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定-札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-〈https://www.nies.go.jp/pr/news-and-updates/2013/20130830/20130830.html〉(最終閲覧日:2026/07/21)

執筆 あすけんmore編集部
広田 千尋
監修 広田 千尋(管理栄養士)

管理栄養士。病院、保健センター、保育園で幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在はフリーランス管理栄養士として、ライターやレシピ制作を中心に活動中。あすけんではコラム執筆などを担当している。

関連記事

あすけん - ダイエットや健康のための食事管理アプリ