植物油はどう使い分ける?期待される効果や特徴、使い分け方について
ダイジェスト
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多く含まれる脂肪酸の種類により特徴がある
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アマニ油やえごま油は生食向き
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適量摂取を意識して今使っている油と置き換える
植物油にはさまざまな種類があり、中には「健康によい」と聞くものもあって、どれを選べばよいか迷ってしまいますよね。
植物油は原料や脂肪酸の組成、風味、加熱への向き不向きなどによって特徴が異なります。「どんな料理に使いたいか(加熱するか・しないか)」と、「ふだんの食事でどの脂を置き換えたいか」を軸に選ぶと取り入れやすくなります。
また、どの油もエネルギーはほぼ同じで、摂りすぎるとエネルギー過多につながります。“プラスして足す”より、今使っている油や脂を置き換える意識で取り入れましょう。今回は植物油について、あすけん栄養士が解説します。

植物油の種類や期待される効果、使い分け方について
植物油は原料により、風味や脂肪酸のタイプが異なります。脂肪酸の種類によって体への働きが研究されているものもありますが、効果は「油を摂れば自動的に得られる」というより、食事全体のバランスや、飽和脂肪酸の多い脂(動物性脂肪など)を不飽和脂肪酸に置き換えることが前提になるケースが多い点に注意が必要です。(※3)
| 植物油名 | おすすめの用途 | |
|---|---|---|
| アマニ油 | 非加熱 | 仕上げ・ドレッシング向き |
| えごま油 | 非加熱 | 仕上げ・ドレッシング向き |
| オリーブ油 | 両方 | 炒め物・ドレッシング等に使える |
| コーン油 | 両方 | 熱に強く揚げ物・炒め物に使われることが多い。香ばしい香りがある |
| ごま油 | 両方 | 熱に強く揚げ物・炒め物に使いやすい。香りがあるものとないものがある |
| こめ油 | 両方 | 熱に強く揚げ物・炒め物にも使いやすい。クセが少ない |
| なたね油 | 両方 | 熱に強く揚げ物・炒め物にも使いやすい。クセが少ない |
| 大豆油 | 両方 | 熱に強く炒め物などにも使いやすい |
アマニ油
【原料】アマ(亜麻)の種子
【風味】独特な風味と苦み
【主な脂肪酸】α-リノレン酸(オメガ3系)
【研究で示唆されていること】オメガ3系脂肪酸の摂取が多い食事パターンは、中性脂肪や心血管疾患リスクなどとの関連が報告されています(ただし摂取量や食事全体、置き換えによります)。(※1、※2)
【特徴と使い方の例】α-リノレン酸を含むのが特徴です。酸化しやすいため加熱は避け、生食向きです。ドレッシングや和え物、料理の仕上げに少量使うと取り入れやすいでしょう。開封後は冷蔵庫で保管し、早めに使い切るのがおすすめです。
えごま油
【原料】えごまの種子
【風味】独特な風味と苦み
【主な脂肪酸】α-リノレン酸(オメガ3系)
【研究で示唆されていること】アマニ油と同様に、オメガ3系脂肪酸の摂取が多い食事パターンは、中性脂肪や心血管疾患リスクなどとの関連が報告されています(ただし摂取量や食事全体、置き換えによります)。(※1、※2)
【特徴と使い方の例】酸化しやすいため加熱は避け、生食向きです。ドレッシングや和え物のほか、みそ汁に少量入れるなど“仕上げ”で使う方法もあります。開封後は冷蔵庫で保管し、早めに使い切りましょう。
オリーブ油
【原料】オリーブの果実
【風味】フレッシュな風味
【主な脂肪酸】オレイン酸(オメガ9系)
【研究で示唆されていること】飽和脂肪酸の多い脂を、オレイン酸を多く含む油に置き換えることで、LDL(悪玉)コレステロールが下がる可能性が示唆されています。(※3)
【特徴と使い方の例】オレイン酸を比較的多く含む油のひとつです。加熱調理から生食まで、オリーブ油特有のさわやかな風味を味わえる料理に使えます。
コーン油
【原料】とうもろこしの胚芽
【風味】とうもろこしの香ばしい香り
【主な脂肪酸】リノール酸(オメガ6系)
【研究で示唆されていること】植物ステロールなどの摂取により、LDLコレステロールが下がる可能性が示唆されています(摂取量や食事全体によります)。(※5)
【特徴と使い方の例】コーン油には植物ステロールが含まれます。香ばしい香りを活かす料理に向き、揚げ物にも使われます。揚げ物は油の摂取量が増えやすいため、頻度や量には注意しましょう。
ごま油
【原料】ごまの種子
【風味】香ばしい香りとコク
【主な脂肪酸】リノール酸(オメガ6系)
【研究で示唆されていること】ごまにはセサミンなどの成分が含まれる点が特徴です。
【特徴と使い方の例】香りが強く、少量で風味や満足感を出しやすい油です。中華料理だけでなく和食にも幅広く使え、香りを活かして調味料を控えめにするなど、結果的に減塩につながることがあります。
こめ油
【原料】米ぬか
【風味】さらっとした味わい
【主な脂肪酸】オレイン酸(オメガ9系)
【研究で示唆されていること】飽和脂肪酸の多い脂を、こめ油など不飽和脂肪酸が多い油に置き換えることで、LDLコレステロールが下がる可能性が示唆されています。(※3)
【特徴と使い方の例】含まれる脂肪酸はオレイン酸が比較的多い油です。さらっとした軽さがあり、揚げ物など加熱調理にも使いやすいでしょう(※製品や保存状況によって酸化のしやすさには差があります)。
なたね油(キャノーラ油)
【原料】菜種の種子
【風味】無臭であっさり
【主な脂肪酸】オレイン酸(オメガ9系)
【研究で示唆されていること】飽和脂肪酸の多い脂を、オレイン酸を多く含む油に置き換えることで、LDLコレステロールが下がる可能性が示唆されています。(※3)
【特徴と使い方の例】クセが少なく、さまざまな料理に使いやすい代表的な植物油のひとつです。手に取りやすく、日常使いの油として取り入れやすいでしょう。
大豆油
【原料】大豆
【風味】独特のうまみとコク
【主な脂肪酸】リノール酸(オメガ6系)
【研究で示唆されていること】植物ステロールなどを含む点が特徴で、LDLコレステロールが下がる可能性が示唆されています(摂取量や食事全体によります)。(※5)
【特徴と使い方の例】大豆油には植物ステロールが含まれます。家庭では、ほかの油とブレンドされ「サラダ油」などとして用いられることも多い油です。単体の大豆油は独特のうまみとコクを味わえます。
植物油に含まれる脂肪酸の量
植物油は、主にオレイン酸(オメガ9)、リノール酸(オメガ6)、α-リノレン酸(オメガ3) などの不飽和脂肪酸です。脂肪酸の種類により特徴があり、研究で示唆されている働きも異なります。ここでは代表的な脂肪酸と、その脂肪酸が各植物油に含まれる量の傾向を比べてみました。
オレイン酸が多い油:比較的酸化に強い傾向があり、加熱調理にも使いやすい

オレイン酸は一価不飽和脂肪酸で、オリーブ油にとくに多く含まる脂肪酸です。飽和脂肪酸の多い脂を、オレイン酸を多く含む油に置き換えることで、LDL(悪玉)コレステロールが下がる可能性が示唆されています。(※3)
また、多価不飽和脂肪酸と比べると酸化しにくい性質があるため、加熱調理にも取り入れやすい点がメリットです。
リノール酸が多い油:必須脂肪酸だが、摂りすぎや酸化には注意

リノール酸はオメガ6系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)で、体内で合成できないため食事から摂る必要があります。
飽和脂肪酸の多い脂を、リノール酸を含む油に置き換えることで、LDLコレステロールが低下する可能性が示されています。(※4)
ただし、リノール酸はオレイン酸に比べると酸化しやすい性質があるため、いずれの脂肪酸も摂りすぎには注意し、バランスよく取り入れることが大切です。とりすぎるとエネルギーも過剰になりやすいため、適量を心がけましょう。
α-リノレン酸が多い油:加熱せず、仕上げに少量使うのがおすすめ

α-リノレン酸はオメガ3系脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)です。体内で一部が青魚に主に含まれる脂肪酸として知られるDHAやEPAに変換される性質があります(変換量には個人差があります)。(※6、※7)
オメガ3系脂肪酸の摂取が多い食事パターンは、中性脂肪や心血管疾患リスクなどとの関連が報告されています(ただし摂取量や食事全体、置き換えによります)。(※1、※2)
α-リノレン酸は一般的な植物油には多く含まれないことが多く、アマニ油やえごま油など一部の油に比較的多く含まれています。魚料理の頻度が少ない人は、これらを加熱せず“仕上げに少量”取り入れる方法もあります。
油を取り入れる際の注意点
油の健康影響は「油を足す」よりも、飽和脂肪酸の多い脂を不飽和脂肪酸に置き換えるときに語られることが多い点がポイントです。
「カラダによい」からといって、油を必要以上にとってしまうと脂質の摂りすぎになってしまいます。油は種類によるカロリーの違いはほとんどなく、大さじ1杯(12g)あたり106~108kcalほどです。
たとえば「なんにでもかけて食べる」という取り入れ方をすると、脂質を摂りすぎてしまい、カロリーオーバーしてしまいます。プラスしてとるのではなく、あくまで今使っている油を置き換える形で取り入れるとよいでしょう。
また、アマニ油・えごま油などは酸化しやすい性質があるため、加熱は避け、開封後は冷蔵庫で保管して早めに使い切るのがおすすめです。
どれもスーパーで手軽に手に入るので、一度見比べてみるのもよいですね。毎日の料理に欠かせない油の特徴や使い分け方を知って、自分に合ったものを取り入れてみましょう。
管理栄養士。病院、保健センター、保育園で幅広い年代の栄養サポートに携わる。現在はフリーランス管理栄養士として、ライターやレシピ制作を中心に活動中。あすけんではコラム執筆などを担当している。